あおいうみ

茨城のキモヲタクが書く暇つぶし

あおいうみ

『恋する小惑星』で学んだ知識だけで解く大学入学共通テスト

マンガというものは単なる娯楽だけでなく、登場するキャラクターを通して私達に「生き方」「考え方」を教えてくれています。「あの主人公のような生き方をしたい!」などと影響を受けた方も多いと思います。それだけでなく小学館などが出している『漫画 日本の歴史』などのようにマンガには「教育」「知識」というものも私達に与えてくれるようになりました。

一般的にそれらは「子ども向け」として書かれる傾向がありましたが近年では「子どもだけでなく大人もためになるマンガ」が世に広まってきました。ビジネスマナーをマンガで分かりやすくしたもの、実話を元にした体験談、最近では体細胞を擬人化して体の仕組み、免疫システムなどを学ぶことができる『はたらく細胞』が『世界一受けたい授業』にて紹介されるなど「マンガはためになる」という傾向は高まっており、数十年前まであった「マンガを読むとバカになる」というイメージを払拭しているものと思われます。

 

「でもマンガを読んでも大学には行けないだろう?」

 

否! 

先程例にあげた「歴史漫画」などは教育の観点から制作されており、勿論これは小学生だけでなく中学生、更には高校生にも使える。小学館の特設ページを見てみるとこんなことがデカデカと書かれています。

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https://www.shogakukan.co.jp/pr/manganichireki/

「班田収授法?レコンキスタ?ふぇぇぇ…わからないよぉ~!」「テストで点が取れません助けて下さい」という方は「こんな本幼稚だ!」とバカにしないで一度これらの学習漫画で時代背景や流れ、おおまかな用語を掴んでから教科書を読んだり問題集を解いてみることをお勧めします、私もこれをやりました(がわからないものはわからないので世界史を諦めて政治経済で受験しましたとさ)。

「お前文系科目の話しかしてないな理系科目はどうなんだよ」

というわけで


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私が今から証明いたします

芳文社まんがタイムきららキャラット』にて月刊連載されている『恋する小惑星』はそんな理系科目の一つ、地学を学ぶことができるマンガです。2020年1月にはアニメ映像化され話題を呼びました。

幼い頃に出会った子と新しい星を見つける約束をした主人公木ノ幡みら(cv 高柳知葉)はその約束を叶えるため高校で地学部に入部、しかし天文部と地質研究会を合併してできた地学部は部内で対立があって…。果たして地学部はどうなるのか、そしてみらは星を見つけることができるのか…。そんな物語です。

 

前置き情報として私と地学の関係について

  • 高校で地学をやっていない(あるならやりたかったが地学を選択できなかったので仕方なし)
  • 今現在地学に直接関係する講義を履修していない
  • つまり地学に関する知識は中学理科で止まっている

 

事前学習

前もって断っておきますが私は字が綺麗なほうではありません。見苦しい、読めないと思いますがご了承ください。

いきなり問題を解いてしまっては悲惨な結果になること間違いありません、事前学習が必要です。まずは作品に出てくる用語及び計算式をノートに書き出していきます。

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話が進むにつれ難しい用語が多くなっていきます。正直「こんなの高校地学で習うのか…?」「東大王で出そうなワードだな…」と思いながら進めて行きます。


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こんな感じになりました、分からない、聞いたことない用語を調べながら進めると以外に時間がかかり単行本1冊分で1時間以上掛かっています。が世の高校生はこれを1年掛けてやっていると考えると短いものです。

 

人間は書いて覚えるものです、作品中重要だと思った説明などは自分でイラスト化や文字に起こしたりして理解を深めます。

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これは「クッキーを岩石に見立てその岩石の形成方法を答えよ」のくだりのイラスト化  

 

実際に解いてみる

今回解くのは令和三年度大学入学共通テストの地学本編です。地学基礎でもいいのですがそれでは地質天文気象と幅広い分野の問題を解くことは不可能と考えたからです。

それでは

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解いていきましょう!

 

 

 

結果

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得点:40点

地学は受験者数が少ないため得点調整が行われませんでした。なのでこれで確定です。ちなみに偏差値は46.5(計算がめんどくさいのでところどころ四捨五入しているので増減あり)でした。

「流石にこれじゃいかんやろ…」ということで追加検証、地学基礎もやってみます。「お前さっき何て言ったっけ?」と言われそうですが知りません。

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こちらは38点(50点満点)偏差値55.5でした。

 

感想

できなくはないけど無理に近い

これが私の結論です。地学、舐めてました…。普通にわからん…なんやこれ。全国の地学履修者のみなさん申し訳ありませんでした。

答案を見てみるとわかるのですが天文分野がボロボロです。というもの作品では小惑星、星座、ジョンソン彗星、電波望遠鏡VERA、はくちょう座β星アルビレオなどの話は出てきますがこれがそっくりそのままテストに出るかと言われればそうではありません。実際に出てきた問題は

  • ダークマターとは何か
  • 天体までの距離を求めよ
  • スペクトル観測の結果から、銀河の後退速度を求めよ

などです、ええわかるわけがありません。だって教科書、参考書を読んでいませんもん。

「じゃあ『恋する小惑星』で地学は学べないの…?」というとそうではありません。実際に共通テストの第一問目はハビタブルゾーンを中心として地学全ての分野から出題される問題でした。ハビタブルゾーンについては2巻およびアニメでの文化祭回において発言がありますし、問4-3の地上天気図を見て適合する高層天気図を選ぶ問題である地上天気図と高層天気図の違いについても4巻に説明があります。

また「役に立つ地学」を学ぶという面ではこの作品は優れています。例えば星座の位置形、離岸流の話、石の見分け方、「モコモコの雲が発達すると雨が降ってくる」など私達の生活に役に立つものが多いです。その他望遠鏡の種類やボーリング調査のやり方など少しマニアックなものも…。逆さまの虹を見て「あれは環水平アークだよ」とか言ってみたくないですか?

今回の結果からあくまで大学受験という形では残念ながら少し的外れというようになってしまいましたが作品で紹介されているものは私達が入り込みやすく、身近に感じて明日から「あれは〇〇だ!」と実践できるものです。「読んで無駄だった」そんなことは一切ありません。また私のように地学に興味の無かった人を地学の世界に誘い、時には泣いたり笑ったりして読者を楽しませ、この作品を土台としてさらなる学びへと繋げていく。『恋する小惑星』にはそういった要素が含まれており、作品中の彼女達もその魅力を私達に伝えているのです。

 

布教?

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ありがとうございました
2021/6/7