「北へ行くのよ 誰にも言わずに」
人というものは唐突に北を目指すもの。何も目的はなく、きっぷ片手に新幹線、特急、ただただエンジンを唸らせ並行する国道を走る車に平気で抜かれる列を成していない列車に乗り込む。「何故ここに来てしまったのだろうか」「都会に居た方が楽しかったのではないか」と荒れる海を見てそう自問自答をしてみる。しかしその美しい景色と歴史に触れると「明日からまた頑張ろう!」という気力がどこからか湧いてくるのだ。明日の自分に地酒で乾杯し、景気づけに美味しい郷土料理を食べ、帰りはグリーン車に乗り込んでみる。しかし現実とは非情であるもので、家に着いたらお金を使い過ぎていたことに後悔する自分がいる…。
北というものは私達をどこか魅了し、そして引き込むもの。そしてそこに至る為の手段。ここでは鉄路というものも、それはそれは私達を疲れ飽きさせず楽しませてくれるものなのである。しかし手段というものは旅をするものが居なければ廃れる一方であり、各鉄道会社はここ2年間いかに収益を減らさずに旅の楽しみを提供するか考えてきた。その結果
・露骨な特急誘導
・ご利用の少ない列車の減車減便
という考えにたどり着いた。2年間で最大の損失を叩き出した東京都渋谷区代々木2丁目在住のペンギンは既に上記を実施し「旅情が〜」と言っておいて乗るのは青春18きっぷシーズンだけという私を含めた大きなお兄さんたち[要出典]に叩かれまくっていたが、この度ヤマに挑む大手私鉄、鉄建公団敷設線譲渡先、赤字83線指定第三セクターという3つの会社がこの施策に打って出た。車両の老朽化が第一であるが、利用者減というものは相当痛いものに違いない。基本的に「無くなるもの」に疎く、地元のものではない限り執着することがない私だがこれに関しては何故か旅の意欲を高めた。理由としては
① 6050系の2ドアボックス席が旅情を掻き立ててくれる上、乗っていて苦にならない
② 新藤原より先、野岩鉄道と会津鉄道を乗り継いで会津若松に抜けても日帰りで帰って来れる
③ なんなら鬼怒川温泉や川治温泉で日帰り入浴も出来る
④ 郡山からルートが多数存在し、無計画でも安心(東北新幹線、東北本線、水郡線、磐越東線)
⑤ 黒磯から廃止案件の205系に乗車撮影出来る
という訳で「この機会に会津私鉄ルートを乗り通ししようぜ」ということです。
おはようございます、只今の時刻は6時を少し回った所です。
旅の始まりはいつもの電車。嫌でも見れるE531系の普通小山行に乗り込みまずは小山を目指します。
朝6時台とはいえこいつは5両。常磐線内ではまあまあ席が埋まる乗車率なのですが水戸に到着すると大抵の乗客は上野行に乗り換えていき、ついでに車掌も降りる始末。記載上は幹線の水戸線なんてそんなものです。
「この電車の運転手は乗車券の発売および精算を行っておりません。きっぷは正しくお買い求めの上ご利用下さい。」という不正乗車を摘発する気がない放送を流すと水戸を発車。先行する上野行に追いつくせいか常磐線をダラダラ走り、友部から水戸線へ。乗り過ぎて旅情の欠片もないのですが「今日も紫峰が美しい!」と思いながら旅情を掻き立てていきますと
ヲタクが好きそうな赤い電車にすれ違いました。今年1月には友部以南へ進出すると発表されてたK451編成。しかしK451編成ちゃんはなんだか首都圏のことがキライみたいでいつもいつも水戸線と常磐線を行き来して、ダラダラ走っていたのだった。
もう何度目か、小山です。乗り換え時間は20分らしくここできそばを頂くことに……閉店してたわ。
211系って何か愛着が湧くのですよ。ヲタクが記事にしていたのですが私もこのフォルムが好きですね。過程として415系があるからでしょうか?ともかく211系を含めたシリーズ、213系、415系、719系全てに出会えばとそう思っています。あー九州いきてえ
そんな211系に乗り込み2駅。栃木駅へ。ここからは9月同様東武線に乗り換えていきます。乗り換え時間は5分程度ですが余裕ですね。ホームに滑り込みあんまりよろしくない直前到着を決めますと、「普通新藤原行が4両編成でまいります」とアナウンスがかかり電車が到着。
後ろにリバイバルカラーがくっついていました。
101列車は栃木で撮り鉄をしていたヲタク全員と多少の一般人を詰め込みまして北へ北へと日光線を進んで行きます。もちろん私も乗車し、一緒に北へ進んでいきます。
東武金崎で特急退避。カメラを持ったお兄さん達が通過する特急だったり、連結部だったり方向幕だったり各々撮影していました。それにしても私鉄の信号開通って早いですよね。退避=常磐線の高浜みたいに10分停車と思っている私がおかしいのでしょうか。
雪を纏った日光連山を眺めつつ下今市へ到着。東武鬼怒川線に入ります。先ほどまでの走りとは一変、ダラダラと力を余らせながら走っていきます。
大桑で数分停車。何か列車交換でもするのかなと待っていたのですが列車交換せずに発車しました。運転日だったらSL大樹あたりと交換するのでしょうか。
え?新高徳でも数分停まるのですか???
DRC塗装の100系と交換でした。いけるやろ!ということで望遠で面縦、最初は何も考えていませんでしたがいざ電車がやってくると架線の影がうるさいですね…。
どっかの駅では6050同士の交換が見られました。
鬼怒川温泉で12系を見たり、鬼怒川温泉名物、川沿いに立つ鉄筋コンクリート造の救いようがないくたびれた温泉街を望むとまもなく新藤原終点。
ここで問題です、野岩鉄道線に入ったらまず何が行われるでしょうか?
そうだね、車内検札だね。
車内検札中は運転手がドア扱いをするらしく運転手が「龍王峡です。次は川治温泉に停まります。」とアナウンスするのが少し面白かったです。
敷設の歴史上トンネルが多いこの路線。先程までのダラダラ運転が嘘のようにスピードを上げ飛ばしていきます。
トンネルの中の湯西川温泉駅に停車です。
トンネルを抜けると世界が変わると言われることがあります。『でんしゃでいこうでんしゃでかえろう』という絵本が昔家にありまして。海辺の町↔菜の花畑↔紅葉↔雪化粧と四季が混在している世界をトンネルを介して電車で巡るというとお話(多分合ってるはず)で、トンネルという構造物を上手く利用した作品となっているのです。しかしそれはあくまで"絵本の中のお話"であり、青函トンネルだったり清水トンネルならまだしもたった数kmのトンネルを抜けただけで湖が凍りついているなんてそんな事はない訳です。さて私が乗っている電車もトンネルを抜けますね、どんな景色が待っているのでしょうか?
いや現実じゃねーか
隣りの席に座っていたグループ客が「うわすげえ!」と言っていました。いや私も驚きました。ここまで景色が変わるのですね…。
更に進み、上三依塩原温泉口に着く頃には一面雪景色。あれさっきまで茶色い関東平野にいたよな…?
ホームに降りたらこれ、この駅では対向列車の交換待ちをするそうで、少し撮影してみましょう。
リバティって結構かっこいいですよね。撮影しながらそう思いました。
男鹿高原とかいうヘリポートしかない駅を過ぎ、会津高原尾瀬口から電車は会津鉄道線へ。野岩鉄道線とは異なり速度を落し、川によって削られた山間を縫って走っていきます。
ちなみにこの列車、湯西川温泉と会津荒海で数名下車した以外は乗降がありませんでした。やっぱり乗り通す客が大半ですね…。そんな私も乗り通す客の1人。観光目的でもなくただ電車に乗りにきたヲタクです。
新藤原を出て1時間、栃木からはおよそ2時間。会津田島到着です。空が広いし空気が澄んでいます!!!!
私を乗せた6171Fは5分で下今市へと引き返していきました。もう少し何か写真でも撮れれば良かったのですが時間が短い!時間が足りなすぎる。
その一方で乗り換えの時間は1時間と十分にあるので改札の外にでも出てみます。
以外に大きな駅舎でした。
勿論、こんな田舎の駅が大きいのは理由があって駅の中に売店と土産物店と観光案内所とレストランがくっついている為ですね。レストラン『ヴォーノ』ではハンバーグセットとかカレーとか若松名物のソースカツ丼を頂くことができるのですが雰囲気を見る限り1時間弱で提供されるのかな…?という不安があったので今回はお預け。代わりに売店でお弁当を購入しました。
何かいる~~~
鉄道むすめの大川まあやさんだそうで。かわいいね
以前どっかのヲタクが仙台に行った際に「青葉あさひちゃんクソ可愛い(原文ママ)」と挙げていてそっちもかわいいな~と思っていたのですがどうやらイラストレーターが同じ伊能津さんという方なのだそう。へぇー
https://tetsudou-musume.net/contents/chara/chara.php?cid=PU36
というか容姿がラブライブにいそうな感じなんですよね。金髪に変えたらまんまそれになるだろ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/伊能津
そういうことらしいです
旅先での1時間ってあっという間ですよね。すぐに改札が始まりました。
これから乗車する快速列車はリバティ会津からの乗り継ぎ便であり、数分の乗り換えで連絡。この接続の良さが都内と会津とぐっと近くするものになっています。
「この列車は会津若松行の快速列車です。」とワンマン列車によくある無機質な自動放送を流し、リバティからの乗り継ぎ客と数名のヲタクと地元客を乗せた3312D列車は定刻通りに発車。検札を済ませたところでお昼ご飯にしましょうか
売店で買ったのがこの幕の内弁当。駅弁感覚で買ったので値段を気にしていなかったのですがよくよく考えたらコンビニ弁当で550円って高い方ですよね。でも美味しかったので僕はまんぞくです。幸せならOKです!
お弁当を食べ、変わらぬ雪景色を見つめ一部速度制限15kmを食らいつつも会津下郷、塔のへつり、湯野上温泉と停車し、ここは芦ノ牧温泉駅。列車交換の為3分程止まるそうでふと窓の向こうを見てみますと
ヲタクが好きそうな等身大パネルがある!!!
芦ノ牧温泉駅はどこかの古造爺を令和の時代に走らせている鉄道会社のなんとか湊駅と同じように猫の駅長が有名らしいのですが、マスコットキャラクター以外に猫繋がりで何故か成人向けゲーム*1とコラボさせてしまったのがこの会津鉄道。コラボ期間が終わったと聞いていたのですが等身大パネルが残っていました。かわいいね。『ノラと皇女と野良猫ハート』未プレイなのでいつかやりたいですね。
というかこんなに等身低かったっけ…?アニメ仕様だからですか?
交換列車はAIZUマウントエクスプレス4号。こいつ別途料金不要でリクライニングができる神列車なのですがエクスプレスと名乗っている癖には通過駅が男鹿高原しかありません。駄目じゃん
乗っているAT-500型なんですが背中が痛くなるんですよ。背もたれの角度が高いのか、それとも今まで乗ってきた6050系の座席がねもうすだったのか自分のケツが贅沢を言っているような気がします。
乗り換え待ちで30分程時間があるのでちょこっと土産物店を見てみたりしました。チューハイとかよさそうだな~~~~~~~~~~~~~~あ、俺未成年じゃんアホ。あと会津バスを撮ったりしたのですが良い車が来なかったので放置です。
ここから先は磐越西線。E721系しか来ないのですが私以前に「椅子の硬さがE531系と大差ない」と言ったじゃないですか?ボックスシート嫌ですよね?私は嫌です
ということで指定席に課金をしました。
磐越西線の一部快速に指定席が設置されたのを聞いて「指定席で優雅に会津に行きてえ」と考えていたのですよね。進行方向は逆ですがそれはご愛敬です。
肝心な席ですが二度と快速あいづに無課金乗車できなくなりそうな位超快適です。それはバカな鉄道ファン以外にもわかっているようで私が乗った便は窓側が殆ど埋まっている状態でした。もっとガラガラなのかと思って会津若松で券売機触ったら驚きました。
こんなパンフレットがありました。「ケータイなんか見ずに風景見ろ」と会津若松運輸区からのお達しのようです。小さい画面を覗くのは一旦止めて車窓を楽しむことにしましょう。
磐梯山です。大きいですね〜。
爆睡
快適過ぎて猪苗代辺りから寝ていたようで気づいたら郡山富田。雪という雪は消えており「会津と中通りってまじで別世界なんだな…」と実感しました。
郡山に到着です。次の電車まで40分待ちということなので改札を出て散策します。夕飯でも買おうと駅前広場に出てどうするか考えていたところ変なバスを見たので追ってみます。
いやいきなりやばいのいるやんけ
夕飯なんて宇都宮でも買えるやろ!ということでバスを撮ります
お ま た せ
い つ も の
元 神 奈 中
地方ではよく見るKL-MP系。情報が少ないので最近入ってきた車でしょうか?それにしても福島県なのに「常陽マイカーローン」の広告なんですか…。みちのりHDだから?
来ないだろと思ったらU-MPが来ちゃったよ…。笑いが止まりません
幕車も来てくれました。郡山やばすぎ最高か?
立て続けにエアロMが来てくれたことで40分があっという間。最後は時間を気にしながら撮影していました。福島県のバス会社は古いものを末永く大切に使いましょう精神があるのか未だに骨董が生き残ってくれているので楽しいですね。またお邪魔したいです。
さあ行こう、地獄の旅路へ
やってきましたのは東北のヌシこと701系電車。ヲタクからは忌み嫌われる存在ですが私は701系大好きマンなので苦ではありません。というかこれの何がダメってオールロングシートということであって椅子のグレードでいったら下にもっといるはずです。どっかの交直流電車*2とか小山車両センターのやつ*3とか緑の交直流電車*4とか水戸線出禁電車*5とか。
白河関。朝廷に抵抗する蝦夷に対する軍事的目的で東山道上に置かれ鼠ヶ関、勿来関と共に人の往来や物流の取締を行ってきた(とされる)。時は下り東北の平定、律令制の衰退などで役割が薄れ関は廃止され、現在は、東北本線、国道4号、東北自動車道、東北新幹線といった文明の利器により私達はここから先がどんな世界だったのか考える余地もなく通り過ぎている。
しかしどうにも東北を「な来そ」の地としたいのか2017年10月、東北本線上に約1300年振りに新たな関「新白河駅」が置かれた。これ以降東北への道を気分的に遠ざけた存在になってしまっている…。
乗り継ぎは緑の電車かと思えば青い電車。みんなだいすきごーさんいち。やったねたえちゃん!じぇいあーるひがしにほんがほこるばんのうこうちょくりゅうでんしゃだ!ばんのうすぎてしゃしょうさんがのっていないよ。せきしょってひとがいないときせるじょうしゃがたえないじゃないのかな?あ、でもていきりようしゃはていきけんをもってるはずだし、をたくくんはみんなせいしゅん18きっぷでのっているからかんけいないですか、さいですか。ねえいすが701けいよりかたいのだが?
くろいそからは205系、いすが柔らかくなるはずです。
なんで???
代走でした。何故代走なのかは知らないのですが一部編成の調子悪いのでしょうか?
次駅表示付きですが行先表示。E131系が運用入りしたら暫く宇都宮以北に入線しないだろうしこれはこれで?
矢板から記憶が飛んでいましていつの間にか宇都宮。折り返しの黒磯単体幕でも撮るか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あああああ次駅表示出るの早えよ
宇都宮では20分程度で大宮方面の列車に乗り換えが出来るのですがその列車で小山に行くと水戸線との乗り換えになんと40分近く待たされます*6。折角なのでここ宇都宮で205系を撮影したいと思います。というかこのためだけに今の今まで三脚を持ち歩いていました。正直邪魔だったよ…。
調べたらこのY6編成も代走らしい?
メルヘン顔しか勝たん!
写真はないですがE233系に乗り小山からはまたE531。もう十分堪能したよ…。
そういえば小山には4073レという貨物クラスタにはそれなりに有名な列車が停まっていたのですが眠くて頭が回らず撮る気が起きませんでした。パトラッシュ、僕はもうつかれたよ
水戸です。さて何が来るかな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい死んだわ
最後の電車はゴマイチ、ここで確信したのですがこいつ701系より椅子がカタい。まじでカタい、座らせる気ないだろ。
そしてなんで水戸支社は半自動ドア扱いにしないんですかね?水戸線位半自動ドア扱いに戻しても良いと思うし、このゴマイチは最初15分ドア全開でした。本当に寒いです。
結論:北は私達を魅了す
今度はリバティ会津を使って浅草→会津若松とかやりたいですね。それとも尾瀬夜行で燧ヶ岳登山とか?ともかく北の地は今日も私達を魅了し引き込もうとしています。みんなも行こう、まだ間に合います。「行くぞ!東北」
なお次回は構成を変更して「行くぞ!越後國」をお送りする予定です。
ありがとうございました
2022/3/9